2009/10/18

歌舞伎公演@サンフランシスコ

サンフランシスコ州立大にて行われた歌舞伎公演に、インド人夫婦と一緒に行って来た。
サイトはこちら

日本でも本年の7月だったか、国立劇場でやっていた歌舞伎教室には行ってみたのだけど、正直こっちのほうが外国人向けに良く練られていて、面白かったような気もする。さすがエンタの松竹、というパワーを感じた。出演は中村京蔵氏および中村又之助氏。

前半は裏方の説明や、楽器の用いられ方が解説された後に、鷺娘が演じられた。鷺娘では引き抜きがテンポ良く3回ほど行われるので、初見の人にも優しい構造になっているのかもしれない。最初の10分ほど、おそらく睡魔と闘う方も多かったのだと思うのだけど、それを耐えた人たちは、相当集中した目で舞を見ていた。

後半は、よりいっそう盛り上がりを見せた。まず、女形の歩き方の基本や振る舞い、感情表現の説明がなされた。さらには、女形の化粧や着付け等、日本でもお目にかかれない舞台裏が壇上で拡大カメラを用いて解説される。その後実践編のように、石橋(赤と白の鬣を持った獅子が頭をぐるんぐるん回すのがハイライト)が実演された。
これほどまでに、歌舞伎への入門のハードルを下げた構成は見事なものだと思った。個人的にも満足したし、同伴した友人夫婦も結構満足いただけた模様。
ロス、サンフランシスコの後、シアトル、ポートランドおよびデンバーで公演をやるとのこと。その内容において、領事館の人たちによる通訳が入ったり、米国滞在暦が長そうなおっちゃんのうまい解説が入ったりと、細かい手作り感が大したものだと感じた。

話題は逸れるが、アジア人の飲み会では、複数の全く別の会話から、「日本語は話せないが読める。きっかけはFFかドラクエ。これをやるために、必死で日本語を読めるように勉強した」と言われて感動した。その昔、英国でケロケロケロッピがやたら人気だったりしたときに、この名前の意味を教えてくれとせがまれて困ったことを思い出した。文化のパワーが強ければ、言語や周辺環境への理解も必然的に追いかけてくるもの。別にゲームやキャラクターだけがソフトパワーではないと思うけど、もっと戦略的に、こういった文化を地道に売り込む努力の大切さを痛感し、各地の領事館の方々のご努力に改めて敬意を感じた。今日の歌舞伎は最後にはスタンディングオベーションで幕切れとなった。こういった取り組みが、たとえば一人でも多く子どもに日本語を習わせようとか、日本に旅行させてみよう、といった行動につながってくれれば、と思う。
そういう意味では、明日はGSBのグローバル・フィエスタなるイベントが開催される。こちらは日本食の中で最近もっとも外国人受けするとされる品を用意中。身近にできることから一つずつ。

No comments:

Post a Comment