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2011/06/05

Quora創業者の話を聞きながら思ったこと


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久しぶりのポストになるが、
Quora創業者の一人、ディアンジェロ氏の講演について。
http://www.quora.com/Adam-DAngelo






ディアンジェロ氏、元Facebook CTOで26歳という側面が強調されるけれど、会話の中に感じるストレートなロジックを求める頭の良さが印象に残った。


以下、Quoraについてのプレゼンより。

  • 今日のプレゼン内容は情報の質について。
  • まず、最初にいえること。Web is a Mess。今のグーグルサーチが返す情報は、本当にぐちゃぐちゃしている。グーグルサーチをするときのマインドセットと、ウィキペディアで編集された情報を行き来するときの集中力・心地よさを比較すればよくわかる。
  • ウェブでサーチすることは、別にアリだし、5分ほど検索すればそれなりの答えにたどり着ける。しかし、同じトピックについては、世界中でいろんな人が検索しているはずだ。全部あわせたら、かなりの人が、同じプロセスについて時間を浪費している。
  • ウェブが汚い理由は、現状のサーチがリンクをベースに作られていて、基本的にSEOを考えるなら、物量作戦でとにかく情報をウェブにあげて、自分のコンテンツにリンクさせることが勝ちパターンになっているからだ。
  • 今の世界では、QuantityはQualityに勝っている。
  • また、分散された形での情報共有という形態を今日のウェブでは達成するのは、極端に難しい。ほとんどのブログには、対話が存在していないので、読者とのつながりが薄い。
  • かなり前のことだが、インターネット黎明期には、いろんな学者がウェブサイトを作って、自分の論文へのリンクや、いろんな知識へのコンテキストを作っていた。けれど、こういうことをやるのはコンテンツを持っていて、かつ、ウェブサイトを作るという手間を惜しまない、ごく一部の人だ。
    • 我々がfacebookでやったことは、個人のプロフィールページを作るコストを相当低くしたことだ。いろんな人が情報を生産・消費するコストを劇的に減らすことができた。
  • Quoraでやりたいことは、これをより広い範囲の知識に拡大し、その効率性を改善すること。
  • 実名のユーザーが作るコンテンツ、というのは基本的にクオリティが高い。
  • 対照的に、Yahoo知恵袋的な情報の質は悪い。単にネット上にいるだけ、という人たちは概して賢くはない。
    • 知恵袋的なサービスは、質問行為に対してポイントを付与したりしているので、いらない情報を作り出しやすい。
    • バッジの付与とかは、情報の質を考えると本当に最悪の方法の一つ。
  • Quoraでは、まず、同じジャンルと思われる質問は一つにまとめて、一番良いものを一番上に持ってくる構造になっている。一番上で表彰されるので、良い答えを書く理由付けがある。
  • 質問項目は本当に多様
    • マンモスのクローンはいつ頃可能になるのか
    • 9/11テロの際に建物の中にいた人はどんな経験をしたのか
    • bit.lyはリビアのドメインだが、差し押さえられたらどうなるのか
    • マイクロソフトはイノベーションを止めたのか
    • といった質問に対して、その分野の第一人者、実際の経験者、社長、元社員等が実名で回答している。
  • 最終目標は、誰かが「知っている」情報について、誰もが知ることができる世界にすることだ。
その他

  • 基本的に情報の優劣は投票によって行っている。
  • 最初にユーザーを増やすためには、限定公開の形でバリューを作った。
  • 事業の最大の課題は、いかにスケールし続けられるか。ほかには、特には危惧していない。ウィキペディアに比べて、ロングテールの知識を対象としているので、あんまりライバルもいない気がしている。
  • 政治や個人攻撃等については、一定のガイドラインがある。こういうコミュニティには、問題行為を行わせない、政府のような存在が必要。
  • 最近は景気が良いので、いい人を安く採用することは難しい。基本的に、我々ファウンダー二人のほかに、友人二人を雇って仕事を始めた。エンジニアを口説くには、何か既に成功しそうなプロダクトがないと厳しい。我々の場合、あんまりお金を使いたくなかったので、ビジネス経験はないけど能力がありそうな学生を何人も雇っている。
  • 分散された情報、というのは、全体としては負けつつあるジャンルだと思っている。長期的には、中央に何かが集まったシステムの方が、それ以外よりも価値が大きくなるだろう。
  • 今手がけている技術的な領域としては、できるだけ答えに早くたどり着ける仕組みを作ることだけれど、強いプライオリティ、というわけでもない。





情報を持ってる人がえらい、というのは色んな産業・組織が依って立つヒエラルキーである。言い古されたことではあるが、ネットの持つ本質は、このヒエラルキーを破ることでもあり、その新たな加速ツールが出てきたな、という印象である。

現状のQuoraでは、テック業界中心の知識が驚くほど充実している。シリコンバレーの労働市場の流動性、そうそうオープンにしても真似はできない暗黙知、繰り返し答えることで生まれるレピュテーションへの期待感、集合知よりも一人の天才の価値、といった特性は、シリコンバレーの力学をそのまま体現しているような印象を受ける。

この流れは、「情報を囲い込む」ニーズの無いところまでは想像を超えるスピードで敷衍していくことだろう。一方で、極端な例が、外交機密であったり、インサイダー的な業界については、これはまた、ウィキリークスやマスメディアの領域であり続けるのだろう。わからないのは、この二つの間の分水嶺がどのあたりにあるのか。現状のQuoraの勢いが続くことを願うばかりである。

ちなみに、ビジネススクールの組織行動論の教授の中でも意見対立があるのが、このような情報の水平化に向けた長期トレンドを見越した上で、個人はどのようにリーダーシップを発揮するべきか、というテーマである。Touchy Feelyの授業創設に関わったBradford教授は、基本的には水平型のチーム組織じゃないと、今後の社会ではパフォーマンスは出せない、という強い持論を持っている。それに対して、例えば心理学の大物Gruendfeldは演劇の授業等でも、「理由無く高圧的に接する」「相手の行動に理由・余地を与えない」「会話をしないで、一方的に伝える」といったことはビジネスでは必要で、生きていくには現実的だ、ということを教えている。
ただ、この問い立ては、あまりに重要な問いの割に、かなり粗いものだという気がしている。ケースバイケースである上に、個人の資質というものもある。また、何がその勝負の「勝ち」を決するのか、という技術や条件次第でもある。大事なのは、誰がそれを持っているのかについて謙虚に考える頭と、一旦決したら鬼のように執行する、というところなので、まあ、そんなことは教わろうとせずに、実践せよ、ということなのだと感じている。



2010/11/17

コード書けず、エクセル使えなくても出世する起業家

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友人とディープに話し込む機会があった。
日本語だったら書いていいよ、と言われたのでメモ書き。


二人でお茶を飲みながら、出だしで驚いた
  • ここに来る途中、1ミリオンのファンディングを受けてきた。今度の起業プランは考えられる限り一番良いスタンフォードの教授と組むことができた。
これまでの経歴について
  • スタンフォード工学部4年のときに、パロアルトのテック系の会社でバイトをしていた。知り合いが同じビルの上の階で起業していて、引き抜かれた。
  • 新しい会社は教育系ツールを開発・販売。セールスをイケイケな感じでやってみたら、沢山の大学相手に商品が売れた。自分の工夫もあったけど、やっぱりプロダクトが良かったおかげ。ちなみに、コードは書けないし、エクセルは今でもうまく使えない。
  • 販売実績が自分の評判を強く高めてくれた。知り合いの偉い人から、違うベンチャー(ソーシャル系)に来ないかと誘われていく。とりあえず行ってみると、CEOの下での実務補佐が仕事になった。
  • 人が少ないので、とにかくジェネラリスト的に何でも仕事をやらされた。社長に頼まれて、20歳以上年上の人の給料を大幅にカットしたり、戦略を強引に納得させる、みたいな汚れ役が多かった。
  • ある日、取締役会のあとに、出資者のベンチャーキャピタルの取締役に一人残されて、こういわれる。

    「この会社、業績悪いから役員全員変えることにした。それで、社長やらない?

    御歳26歳のこと。
  • 断る理由もないので、とりあえず社長になった。まず、社長として今までの上司をクビにする作業から。前職から連れてきた二人を残して、それまでの先輩・友人をギロチンにかける。
  • ちなみに、同時期そこそこのプレゼンスがあった。ソーシャル・ネットワークの映画にも、なんか嫌味な奴として自分が登場していた。
  • 人を切りまくって、システムは保守した結果、会社は死なずに済んだ。今までの人生の中では、最悪の1年間だった。疲れたのでビジネススクールに来た。
  • ずっと起業活動してるから、自分はまだ働いているように見えるらしい。妻はビジネススクールに行っていることに最近まで気づかなかったらしい。
彼は、あんまりGSBでガンガンとビジネスをやっていることは知られていない。その理由について、こう語った。
  • 正直なところ、毎日ランチセッションとかに有名人扱いされている人たちが来るじゃない。彼ら、僕からみたらただの友達なんだよ。だけど、皆が彼らをヒーロー扱いする。何だか、そういう所に、しれっと顔出して友達ヅラするのには抵抗があるんだ。遠い感じになっちゃうんじゃないかと思って。
  • ベンチャーキャピタルからの出資を募るとか、適当に教授が言っているとたまに違和感を感じる。
  • 何でみんなやってもないことを、ホイホイと発言できるんだ?自分は去年の最初の学期は、経験的に分かってることであっても、全然発言できなかったよ。2学期目に入って、テック系の授業でやっと発言できるようになったけど。
  • 個人的には、今までもそこそこ実績を残すことはできたけど、成功したとは思っていない。やっぱり起業するのはすげー怖い(Damn Scared、でも笑いながらこれ言ってた)。
最近のVC等の話についても、少し聞いてみた。
  • Yコンビネーターは、自分から見たらただの一つの手段。自分だったら別に人もお金も自分でソースするから使わないよ。知り合いがあそこの顧問弁護士やってるし、スーパーヒーローみたいには見ていない。
  • VCとの距離感と事業のエッジ、みたいな話は、ちゃんと管理していればできることなような気がする。初期の段階から、あれだけはちゃんとやるべきだろうね。

思ったのは以下:
  1. 経営人材というのは、SVであっても希少なものと見える。ハードスキルがなくても、若干26歳でもターンアラウンド社長を任されたというのには、本人も驚いていた。
  2. 実業重視、というか、そこからは簡単には学べないよ、という留保。これ、コンサル嫌いと繋がるのだろう。
  3. Yコンビネーターは、「実用性を感じない」人にとってはただの投資付きハウス。まあ、当り前か。
  4. ベンチャー的モジリアー二・ミラー理論:ちゃんと気を付けていれば、事業エッジとベンチャー資本構成は無差別?
  5. やっぱり彼はものすごく好感が持てる。一つの理由は、類を見ないくらいネアカかつ建設的なこと。もう一つは、ものすごく正直で、分からないことは分からないと言い切れること。彼とは、他の状況でも、色々と話し合う機会があったのだが、とにかく人を励ますのがうまい。
  6. なんというか、西郷どんや竜馬みたいな豪快さの人間成分はやっぱり大事だなあ、と思った。