2010/05/25

MBAを取った後の給料


今年もBusinessWeekの給与ランキングがでました。
MBAを一つの軸で評価するとしたらサラリーしかないので、これをもって絶対的ランキングとするカウンセラーもいます。下記だけ見ると、均せば年功序列になっているのが面白い。卒後20年となると、年齢では50歳前後。その段階で、中央値で給与が20‐23万ドルというのは、在学中に摂取する情報の代表性バイアスに比べれば案外低い印象ですね。

2010/05/24

アセット・アロケーションの授業の半端ない豪華さ


今学期は、本当に授業を詰め込みまくったために、ブログを書く暇がなかったのだが、いくつか半期科目が終わって少し余裕ができてきたので、履修している2つの選択授業についてご紹介したい。
まず一つ目は、アセットアロケーションとマネージャー・セレクション(資産運用における、最適資産配分に関する考え方と、その実務、といった内容)、という、コテコテのファイナンスの授業について。

まずこの授業、二人の先生による共同講義となっている。一人はこの道30年近いPfleiderer氏、もう一人はOak Hillというプライベート・エクイティMoMの共同創業者であるWolfson氏である。Wolfson氏が大まかな概念の説明をし、Pfleidererがモデルによるその適用を考え、ゲストスピーカーで真実性を検証する、という形式を取っている。もっとも、コマ数のほとんどはゲストスピーカーによって構成されており、その内容も90分間、教授二人は横で腰掛けて、ほとんど何もしないという、授業放棄型。これが、たいそう豪華で面白いことになっている。

少し、学術的なことを書いておくと、アセットアロケーションは、資産運用における付加価値の80~95%を占めるという実証研究がある(計測する方法により異なる)。つまり、「あの時、あの株・あの土地を買っておけばよかった」、と悩む判断よりも、「今手元にあるお金を、株や債券、不動産とかに、それぞれどれくらい投資するべきか」と悩む判断のほうが、5~20倍ほど重要だ、ということになる。本来、資産運用を考えるときには、この大事な判断に本当は時間を割くべきなのだが、多くの人は、もっと想像力が働きやすい銘柄・タイミングに集中してしまう、というジレンマがある。この講義では、このようにより重要とされる配分方法をどう決めるか、という方法論と、いざアロケーションを決定した後に、どのようなファンドに投資するのが良いのか、という点に重きを置いている。コースとしての面白みを持たせるためか、ほとんどのトピックは非伝統的資産(プライベート・エクイティ、ベンチャーキャピタル、ヘッジファンド等)に置かれており、その業界が持っている魅力と危うさを語る内容となっている。

肝心のゲストスピーカーなのだが、その布陣は凄い。

(1)ヒューレット財団運用責任者
(2)スタンフォード大学基金運用責任者
(3)カルパーズの元オルタナティブ運用責任者
(4)ジョージ・ロバーツ (KKR の R)
(5)ブルック・バイヤーズ (KPCB の B)
(6)GMO(米の著名運用会社)アジア地域運用責任者
(7)アジア・オルタナティブス(アジアPEのFOF)創業者
(8)PEのセカンダリー取引専門ファンド創業者
(9)ファラロン・キャピタル(ヘッジファンド)海外投資責任者

いくつか、この中でも記憶に残った部分を書きとめておきたい。ファイナンスのことだけでなく、人生論について、多くのことが聞けたのが印象的だった。


ジョージ・ロバーツ
彼は、プライベート・エクイティ産業の始祖といえる存在であり、80年代にはかの有名なRJRナビスコへの買収をしかけて、その顛末がBarbarians at the Gate(参照)なる映画になったりと、資本市場の世界にいて、どうしても会ってみたい人の一人だった。

授業の後半で一つ、ファイナンスというよりも、人生訓を聞きたく、彼に質問をぶつけてみた。

「あなたは、70年代にそれまでなかった金融サービスを立ち上げて、以来、野蛮人だとか、欲の塊だとか、社会の必要悪みたいに扱われてきた。それはあなたにとって、どんな意味があったのか?」

すると、全く顔色一つ変えることなく

『しんどいと思ったことは一度もない。大変な時はあっても、やるべきことがあれば、別に月曜の朝起きて、早くオフィスに行きたいと思うものだ。90年代はリターンが冴えなかったけれど、だからといって落ち込むことじゃなかった』

とすっぱりと答えてくれた。


某スピーカー
かなりの時間を掛けて、専門分野について語った後、最後に数分だけ聞いてください、と話し始めた。
「皆さんのキャリアを占う上では、運を大事にして、謙虚さを忘れずに、時間を楽しむことを大事にしてください。そして、できるだけ、面白い人たちと仕事をしてください。素晴らしいパートナーと、よきメンターを見つけてください。」
「私には、難病の息子がいる。カルパーズの仕事へ当時移ったのも、彼と時間をできるだけ過ごしたいと思ったからだ。難病の息子は、きっと結婚することができない。きっと、私が死ぬまで、一緒にいる存在になるのだろう。ただ、私はそんな息子がとても大切だ。もはや、難病なしの息子を持つことなど考えられない。人生には、仕事で達成すること以外にも、あまりに多くの側面がある。それを大事にしながら、ビッグな仕事を成し遂げられれば、それは本当に幸せなことだと思います」

ブルック・バイヤーズ
バイヤーズ氏には、春に行われたチャリティ・オークションでランチを同氏のオフィスで同級生としにいったのだが、その1週間後に授業で再開する、という形になった。KPCBは、間違いなくシリコンバレー一の存在感を誇るVCであり、パートナーの面々を見るだけでも、圧倒的な存在感を誇っている(副大統領だったあの人とか)。世界各国から、同社の提供するファンドに投資したい人たちが、文字通り行列を成している。

「ベンチャー・キャピタルというのは、資本市場の中ではごく一部を占めるだけの存在だ。あまり、多くなるべきものではないし、アセットアロケーションのうちの5-10%でも占めれば十分すぎる」
「ベンチャー・キャピタルは、金融業ではない。むしろ、人をどこから連れてきて、どんなチームとして育てて、といった、組織作りのプロだ」
「本当のベンチャーマネーは、拡大に用いるべきではなく、本当に大事な情報の検証だけに費やすべきだ。たとえば、試験場を確保できるかとか、重要な試薬を手に入れられるかとか。人件費とか、マーケティング目的で投資を行うわけではない」
「ITバブル期にローンチしたファンドは、我々であってもネガティブリターンだったりした。それだけ、あやふやとした世界であることは分かっておくべきだろう」

ある種、虚飾の一切ない、ピュアな組織はこういうものかと感動した。できることだけを実直にやりつつ、強かに対象を拡大するという、KPCBそのものの組織力は、誰もが羨むばかりで真似ができないという、本当の経営におけるArtを感じることができた。

ファラロンの海外投資責任者にしてみた質問
非常に体系的に、世界経済のトレンドに関する話をされている最中、質問してみた。
「バブルについて何度か言及されているが、実際にはヘッジファンドの投資ホライゾンと、バブルが存在し続ける期間は一致しない。そのもどかしさを、どうやって処理されているのか?」
『バブルにベットすることは、できない。ただ、崩壊に対応することはできる。危険なものを危険だと認識し、防御策を打っておくこと。プロとしてできるのは、これくらいだ。』


某スピーカー
「今まで、HBSの卒業生同期3人で事業を立ち上げ、強く支えあいながら、これまでやってきた。しかし、先週のミーティングの最中に、彼女は突然倒れ、数日間意識を失った状態だった。自分としても、まさかの事態で、現実として受け止めきれていないのだが、それでも投資家は、創業者のチームとしての強さを信頼して、投資を引き上げることはしなかった。こういう形でビジネスをやっていて、本当に良かったと思った。」





2010/05/20

FindShare使ってあげてください

GSBの同級生・2年生及びMS&Eの日本人3名でローンチ中のプロダクトが出ております。引っ越しニーズ等に重宝すると思います。できたてほやほや、いかんせんネットワーク外部性の代表例のような存在なので、皆さんとにかく使ってあげてください。一般の方にもわかりやすいインターフェースで 買うよ/売るよ を実現しています。

東京版

ベイエリア版
http://bay.findshare.net/

ローンチの過程を横から見ていた立場として言えば、このプロダクトの凄い点は、プログラマーがいない(といったMK君は怒るだろうか)チームで、日本のやる気のある方々にお願いして、一気に立ち上げてしまった、という点に尽きる。デザインスクールのクォーターの授業の一環で、まだ期末まで時間はあるというのに、ここまで仕上げてしまうというのは流石です。



2010/05/11

新キャンパス




九月はまだ骨だけでしたが、肉と皮膚がついてきました。
まだ一応、Class of 2011はこのオフィシャルには最初に新キャンパスを味わえる学年、ということになってます。