2009/09/27

体重管理

出国前に、友人、会社の同僚皆に心配された最大のトピックは、学業ではなく体重である。
これまでの遍歴で言うと、18~25歳の間は72kg前後、結婚して80キロ台に突入、出国前は82kgまで到達していた。これが、飽食の国でどうなるか、は友人の間ではすでにギャンブルの対象となっている。

なので、一応毎月末、ご報告をしようと思います。
8月末:82kg
9月末:79kg ⊿=-3kg

ちなみにこの間、香港での暴食経験が存在しているので、最大値―最小値は4kg程度になっていると推測。新生活と、学業にかかるストレスに加えて、やっぱり外食の質に由来するところが現状では大きいと分析しています。

Week 1が終了


1週目はオリエンテーション的色彩があったものの、とうとう本格的に授業が開始。

合計5科目(企業金融、戦略論、リーダーシップ形成、クリティカルシンキング、グローバル経営論)について、おおむね週に2回ずつ授業があり、ケース一つ、リーディング50ページ程度が授業ごとに課されている。ものによっては100ページを超える場合も。

とにかく時間が捻出できない中で、クラスメートは夜飲み会に繰り出したりとImpossibleを行っている。すごすぎる。

2週間終わって、まったく会話ができない「うなずきマシーン」からは多少脱したものの、やはりこちらの人の会話のレベルにはついていくのが大変。(1)言語能力の壁、(2)地頭の壁、(3)コミュニケーションの壁、の3つでいうと、(1)、(2)はしょうがないが、(3)はとても高く、努力次第といえ、たいした高さだと思う。

ただ、だんだんと慣れや、力の抜き加減も体得中。一度は「今コールドコール(先生からの指名回答)されたら終わる」状態で90分耐え抜く経験(ネームカードを読めないように級友の頭の後ろに移動。我ながらセコすぎる)をした。

また、日本から3名のお客様をもてなす。うち、1名は結婚式でスピーチをしてくれた家内の親友で、都合3泊して頂いた。新しい家でのアコモデート方法やら、家具の調達やらがいろいろと上達。加えて、他学部への出願希望者に学生を紹介する、といったロジスティクスも経験。もう先輩ヅラするのも僭越なものの、自分が昨年10月に経験した状況を思えば、できるだけ還元したいとの思いでお手伝い。日本人同士での異国での体験には、日常にはない感慨が残り楽しい。

日本からの学生の研修旅行の打ち上げ会にも参加。さまざまな、こちらで活躍されている方々にお会いし、渡辺千賀さんにこちらでの生活情報を教えて頂き、励ましいただくという栄誉にも与る。シリコンバレーに来てみようと思った契機となった本の著者に簡単に会えたりするのは、やっぱり有難いことだなと感じた。日本でのビジネススクールの集まりにも、冨山さんが気さくに話しかけてきてくれたりと、正直こんな身分でよいのだろうか、みたいな経験が多い。ありがたや。



2009/09/19

Week Zeroが終了

開始が遅いとかごねていたものの、到着し、授業が開始して一週間目が終了。
この週は、Week Zeroと称され、授業は2種類しか行われず、他はオリエンテーション等に費やされた。今年入学の学生数は385人、これらが6のセクションに分割され、約60人超のメンバーで基本的に授業が進行する。


会計学の授業
会計学は、応用・経験者向け・基礎編の3段階にレベル分けがなされている。もっとも、PE出身者が基礎コースにいたり、物理学出身のエンジニアが応用にいたりと、直観と合わない変更もなされている模様。全4回という、入門的位置づけ。
いちおう、金融機関出身ということで応用コースに配属された。会計の授業は、BS・PL・CFの見方という、非常に基礎的な事項に終始している。ただ、よく考えると証券アナリスト試験(もろくすっぽ取り組まなかった)程度の知識しかない自分にとっては、良い基礎固めになった。渡米前にかろうじて読んだ三位一体理解法の本は、その準備として大変役立っている。
また、4回目の授業においては、バランスシートと収益構造から企業名をリストから当てる問題も出された。それまで、なかなか英語でグループワークをやるのには苦労していたのだけど、金融用語であれば、外国人相手にそれなりに体力を発揮できるだけでなく、確実にコミュニケーションを行えることが確認できた。変な見方かもしれないが、ファイナンススクールに通えばこの点はもっと早く認識し、ある意味楽していたのかもしれない…苦労は買ってでもするべきなので、何というか良い経験になっているものと信じる。

チームワークの授業 (Managing Groups and Teams)
会計の授業は割と溶け込みやすかった一方、チームワークの授業は精神的にシビアなものであった。毎日、計5回の授業が行われ、毎回なんらかのゲームが行われた。初回は脚本を読んで殺人犯を当てるゲーム、2回目はレゴの形態を模写するゲーム、3回目は砂漠でのサバイバルに必要なツールを当てるゲーム、4回目は点数の異なるおはじきを取引するゲーム、5回目は予算制約のもと、16班に分かれて絵を描くゲームと、どれも小学校でやるような感じではあるものの、大人がそれを行うとヒエラルキーが生じたり、排他的にならざるを得ない状況になったり、真剣に喧嘩したり、といった状況が生じる。また、別に犯人を当てる能力や、交渉・取引の能力が大事なのではなく、その過程で生じる人間的ないざこざが焦点にあったりして、よく練られたものだと素直に感動。

ただ、1週目とは思えないほどにハードな議論が交わされていたことは、ある意味うれしくも厳しい誤算であった。また、犯人探しゲームなどは、20分で文献読んで~、と教授に指示されるものの、情報の半分程度しかカバーできない、といったハードルを早速感じた。授業でやっていること自体は楽しく、面白かったのだが、議論の輪に途中参加することは不可能に近いほど、会話と思考が高いレベルで行われていて、なかなか参加意識を持つことが難しかった。トップ校ゆえの性格ではあるかもしれないが、英語が一人前ではないことに、暗にエクスキュースが許されないような雰囲気がある。また、教授が質問を投げかければ、まず10本の手が挙がるような状態の中で、真にInsightfulなアイデアを述べることは、結構ハードルが高い。週の途中で、個性を出すことはしばらく諦め、とにかく頭を切り替えて、まずは発言することを自分の目標として再設定した。年内のうちに、この辺のコミュニケーションスキルを(飛躍的に)上げて行きたいと感じる。
それにしても、英語での思考能力が数割ダウンではあるとはいえ、周囲のレベルは非常に高い。正直、こんなに高いとは正直、想像すらしていなかった。ゲーム中、たまたま当たった交渉相手が、よく聞いたらヒューミント出身だったり、CIA出身だったりして、もう誰も信じられなくなるような(笑)スキルの高さに出会ったりする。また、軍隊出身者も多く、はっきりと物を大きな声で主張したり、目標設定とコミットメントがありえないくらいしっかりとしていたりもする。米国式のコミュニケーションと、英語能力、思考能力やパターンの違いという、3つの壁があることを認識して、どこまで同化していけるのか、まだ図りかねているような段階。


学事オリエンテーション


S大のプログラムでは、平均的な学生の社会人経験が4年程度であることもあり、独身の学生が多い。独身学生の大半は、チャールズ・シュワブの創設者が寄付したSchwab Residential Centerに居住しており、いかにもな独身寮生活を一年目の間は享受することになる。
しかし、既婚者や、同寮に入れなかった学生は、そのマジョリティの計画するパーティーやイベントへの参加率が必然的に下がる。これが2カ月ほど継続すると「FOMO(Fear of missing out)」と称される「仲間はずれじゃないか症候群」状態に陥るらしく、学事センターから「FOMOは一過性の病気、いずれみんなSchwab生活に飽きてきますよ」というアナウンスがあったくらい。
また、「我々は入学にあたって皆さんを個性で選んでいます。なので他人に合わせるようなことは考えないでください、Be yourself please.」と念を押したりもしている。ほかにも、「皆さんは大学で、それこそ周囲で競争相手がいないくらいに優秀だったのでしょう。でもここでは、その中でさらに競争が行われたりします。当校での評価でPass(優良可の可)を得ても、それは半端ではないレベルの可であると思って、自信を持ってください」といったコメントが行われたりしている。
週の終わりには、「皆さんの中には英語が母国語ではない人達もいます、ゆっくり話していてもちゃんと聞くように」といった、通達もあった。これには保護されて助かるような、甘んじるのを許可されるのがいやな様な、複雑な印象を持った。

加えて、Honor Codeと呼ばれる学生同士の協力に関する一定の制約についても、アナウンスが度重なり行われた。米国の大学では学生同士が協力することを、原則禁止している。その上で、教授の許可により、それを可能としているケースが多い。日本ではまず良く分からない概念ではあるものの、学生同士のフェアネスを確保することがその根底にあるとのこと。ゆっくりと順応していきたいところである。


スタディグループ
授業によりけりではあるものの、64人のセクションは4分割され、批判的分析をテーマとする16人の少数クラスが設定されている。さらに、それがリーダーシップを学ぶために2分割され8人のグループに、加えて細かいスタディグループとしてそれがさらに半分になり、最小単位では4人のグループとして、今後しばらくは学習を行うことになる。自分のグループは、人のよさそうな軍隊出身者(ただし声はデカい)、北京出身のITエンジニア(S大工学院卒)、ベイン出身の米国人、という布陣。正直、まともな英語が話せないのが自分だけで、そこそこ配慮をしてもらっているような気はするものの、やはりちゃんと議論に貢献していかないと、というプレッシャーはある。HBSに比べればフレンドリーな環境であるだけに、それには甘えずにやっていかないと。


授業の課題で作成した絵。中央の女性の顔を担当。ほとんど議論には参加しない寡黙な日本人技術系人材をアピール…
ちなみに、授業の構成としては、3人の顧客(生徒)が一定のスペックと予算をクラスに指示、クラス内で指名されたマネージャーが絵の具や画材等の値段を気にしながら、時間内に水彩画を作り上げるというもの。画の小さな原画は16分割されており、各テーブルで作ったものを張り合わせなければならない、というもの。計80分のみの作業時間の中にしては、かなりうまくできたほうだった模様。皆感動して写メールやら記念写真を撮っていた。