2009/12/05

キワモノ期末試験:Executive Challenge



リーダーシップ・ラボの期末試験は、GSB一年生が47のチームに分かれて戦うExecutive Challengeである。



この企画、全世界から蒼々たる卒業生を呼んで、彼らを相手にハードな設定のロールプレーをする、というもの。学期の初めに聞いたときには恐ろしかったが、チームに支えられて精神力が鍛えられてきたせいか、割とリラックスして臨むことができた。

8人のチームは4×二人組に分かれ、それぞれ異なるケースに挑む。内容は以下の通り。
1.価格的には魅力がある買収案件を、強固に反対する株主に対して説得
2.電気自動車ベンチャーで製品スペックについて妥協することを、頑固な社内エンジニアと協議
3.突如クビになったCEOの地位を継いだ自分が、モラールの著しく低い役員にやる気を出させる
4.魅力的な技術を持ったベンチャーに、仲の悪いメンバーから構成される4人の幹部を全員ヘッドハントする

書いているだけでなんというか疲労感が出てくる設定だが、与えられた15分間の間に、ミーティングを初めて、最終的にコンセンサスを得ることが目的である。15分は圧倒的に短いと言わざるを得ず、自分のチームの成功率は50%。何ともハードだった。
ちなみに、採点はされるが、実際には出席点のみなので、安心してリスクを取った実験ができるようになっている。

自分の出たケース1は、M&Aの案件を、自分のヘッジファンド出身のRと説得するものだった。詳細はこんな感じ。

問題
学生二人が社長・会長を務める会社が破産状態にある製造業を買収することを決定。ただ、ターゲットはダイオキシン訴訟を抱えており、自社の株主のSRIファンドは強固に反対中。また、それとは別のヘッジファンドは自社をリクイデートすることに夢中。既に取締役会9名のうち5名の賛成を取り付けたが、あと2名必要な状況。15分で残り4名中、2名の賛同を得よ。

問題として書いてみると、「回答欄を埋める」という作業であれば、正直なんとでも書くことができる気がする。しかし、それを生身の人間に対して実践させ「怖い思いをさせる」というのは、重要なプロセスだと思う。

結果的に、自分たち二人は、金融用語に踊らされたというのもあって、人間的な説得をすることができなかった。開始3分で、もうちょっとフレンドリーかと思ってた審査員が牙を剥いて、「俺は納得してないぞ!」とキレちゃうのだから、英語力以前の、胆力みたいなのを試されている気すらした。15分が経過してからは、一転して親善モード。何がいけなかったか、どうすればよかったか、を7名の卒業生から逐一フィードバック頂く。中には、「こんな課題が自分の学生時代になかった」「俺もこれは無理だと思う」みたいなコメントも。
審査員も、不動産ファンドの社長とか、上場前にグーグルの役員だった人とか、おっかない人たちだったこともあり、ここで得た教訓を、勉強となったと言わずして何と言おうか。。。

同様に他の3件のケースをこなした後、夜は500名強での懇親会。参加者の中には、Intuitの社長とかも来ていて、すごいものだと改めて感じる。懇親会の傍らにはネットワーキング用のブースもあった。
フレンドリーなコミュニティの付き合いというのは、簡単に言うことはできるものの、実際にこれだけのメンバーを集めたうえで、フランクな関係を簡単に実現しているのはすごいと感じた。そして、ここに入るために、多くの人が巨額の投資をしてきている。
米国というのは階級社会的なのだなあ、と改めて感じる「期末試験」だった。



(参考)
昨年の模様はこちら




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