本日と木曜の2回、グローバル経営論の授業はスペシャルな教授が行うこととされ、一ヶ月前ほどから話題として盛り上がっていた。
その人物は、なんと、
ライス元国務長官。
元々スタンフォード大の政治学教授であり、93-99年の間、副学長も勤めており、本年政権が代わるまで国務長官であった。今年の春から、再び教授職に就いている。GSBで授業をするのは久しぶりのことらしい。必修科目で、64名のクラス相手に二コマ授業をする(6クラスあるので、合計12コマ)ということで2年生からもうらやましい、といった声を聞いていた。
いつもの担当教授も 「今週は Condi Week だぜ!」とノリノリ。
第一回のメインテーマは、国際間での制度の違いについて。一回目は、国家レベルおよび国家間でのコンフリクトが取り上げられ、怒涛のケース3本(+今までに読んだ2本)が事前課題に。カバーされたトピックは以下の通り。
・ドバイ国有会社による米国の港湾買収
・イーベイの中国進出(失敗)
・グーグルの中国における戦略(政府による検閲との戦い)
・ガスプロムと国際政治
・EUでのマイクロソフトへの課徴金
正直幅広すぎる感じで、総花的な議論にならざるを得なかったのは残念なところ。ただ、ケーススタディの実際の主人公であることや、実際にネゴシエーションの場面、政治家としてできることの限度などについては、ノートには残しきれないメッセージがあった。授業中に発言をしたものの、やっぱりちょっと緊張したというか、歯切れが悪かったような感じ。
本題とは違うけど、やはり佇まいがすごい雰囲気を出しているというか、50代半ばには見えない若さ、すごく似合ったスーツとか、そういう外見も印象に残った。
第二回の授業は、日本でもたまに行われる模擬国連の、イランに対する制裁協議版。
事前にケースを読み込み、当日は一人ひとりが6カ国の首脳(トップ、外相、財務相、防衛相)としてのロールプレーを行う。自分はガイトナー。ガイトナーだけど、結局国務長官のヒラリーに伝言や分析を届けたりするようなお使い役。授業の組み立て自体はよくできていて、偽物のNY Timesの記事とか、途中で情勢が変わるような設定があったりと、盛り上がる楽しい授業だった。
ただし惜しむらくは、ライス教授の役割は、最初に指名を読み上げて、ゲームのルールを読み上げ、最後に5分ほど感想的なことを述べるのみに留まったこと。すごいゲストの周りで、ほとんど彼女無視でやんや議論をする、というある種の貴重な体験はできたのだけど、第一回に比べると、せっかくのインプットの機会が格段に少なかったのはちょっと哀しい。
二回の授業を経て、もっとこの人の授業を受けてみたい、と思ったのもあるけど、それ以上に、上述の文章にも見られるようにライス女史に対してすらDemandingになっている自分の姿に驚いた。まあ、それだけ、このMBA生活から得るものを最大化したい、という欲求が身体に染みつきつつあるのだと思う。
当然だけど、有名人が授業をしてくれる、ということ以上に、そのことが持つ意味も考えさせられた。国を挙げて若者を育成する姿勢や、ライス自身が結構授業が巧かったということ、学生側も全く臆せずにブッシュを茶化す質問をしたりしていること等、中々発想が及ばないことが、こちらでは常態となっている。これを不思議な体験としてではなく、日本でも応用可能な事例を考えて、この貴重な体験を活かしたい。
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