2011/01/24

人は見た目が九割、場合によっては十割



今学期、座っただけで気分が高揚する授業を履修している。目の前の講師は、資産額二千億円超にして、まだ三十代の投資家。後述する理由のために、名前は伏せておこう。調べればすぐわかる。

彼の教える内容は主権について。
今週のテーマは貨幣とバブルについてであり、南海泡沫事件や金本位制、ネットバブルの話が扱われた。歴史や人類の根本欲求に照らし、もし国を作るとしたら、これらの要素をどう考えるべきか。このテーマに沿って、授業はエネルギッシュに進行していた。

そして、彼本人のバブル体験談。彼の、いまや大変有名なベンチャーが韓国に行った時、あまりの投資需要の強さでわらわらと色んなファミリーが接近し、帰りの空港までの間だけでも三人から投資させて下さい、と拝まれまくったのだそうだ。空港でもその人たちが勝手にファーストクラスのチケットを購入、帰ったら何もサインしていないのに五億円が口座に振込まれていた、などなど。

さて、彼の授業に登壇する際のファッションは決まっていて、開けすぎだろ、と思う程の胸ボタンを開けたシャツとスーツ。若干紅潮した顔が、迫力を伝えてくる。しかし、木曜日の授業の間、私は全くその迫力を感じることがなかった。授業開始後、30分ほどが経過したときに気づいたのだが、














チャックが全開である。




男性諸兄は分かるだろうが、
チャックというものは左右というよりも上下構造になっており、座ったりしない限り、開いていても、本人から見て右側の人以外には気付かれにくい。私が座していたのはまさにその右サイド。
横に座る学生の目線は講師の上半身に集中しており、我々の後ろにも学生はいない。つまり、気づいているのは、クラスで自分だけ、という可能性が濃厚である。

チャックの中からは、何というか自己主張の強いパーツ(太ももなど)が顔を覗かせていた。しかし、手を挙げて指摘するわけにも行くまい。何かメモを渡せないかとも画策したが、そのタイミングも訪れることはないだろう。
それにしても、自信満々のビジネスマンがエネルギッシュに話をしていて、チャックが全開というのは、想像を超えて笑いを誘うものだ。こらえるのがつらい。もう何を喋っていても連想がチャックに及ぶ。そして、金融政策(*1)の話をされている時に、その時、は来た。彼が口走った言葉は

Discount Window

日本人以外には通じない、社会の窓という表現とのコラボ。何をディスカウントするの、とか考えながら悶絶しそうだった瞬間に授業が終わった。
授業後、頃合を見て言おうと思ったら、彼はそそくさと帰ってしまった。



ということで、男性はプレゼンの前に社会の窓の確認をしましょう、というお話でした。



*1 なお、まともに面白かった話として、バブルの引き締めを行う中央銀行総裁ほど厳しいポジションはない、という話もありました。私も笑いをこらえつつ、日本でも未だに総量規制をタイムマシンで止めようとする映画がありますよ、みたいな発言をそういえばしていた。

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