2010/11/17

コード書けず、エクセル使えなくても出世する起業家

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友人とディープに話し込む機会があった。
日本語だったら書いていいよ、と言われたのでメモ書き。


二人でお茶を飲みながら、出だしで驚いた
  • ここに来る途中、1ミリオンのファンディングを受けてきた。今度の起業プランは考えられる限り一番良いスタンフォードの教授と組むことができた。
これまでの経歴について
  • スタンフォード工学部4年のときに、パロアルトのテック系の会社でバイトをしていた。知り合いが同じビルの上の階で起業していて、引き抜かれた。
  • 新しい会社は教育系ツールを開発・販売。セールスをイケイケな感じでやってみたら、沢山の大学相手に商品が売れた。自分の工夫もあったけど、やっぱりプロダクトが良かったおかげ。ちなみに、コードは書けないし、エクセルは今でもうまく使えない。
  • 販売実績が自分の評判を強く高めてくれた。知り合いの偉い人から、違うベンチャー(ソーシャル系)に来ないかと誘われていく。とりあえず行ってみると、CEOの下での実務補佐が仕事になった。
  • 人が少ないので、とにかくジェネラリスト的に何でも仕事をやらされた。社長に頼まれて、20歳以上年上の人の給料を大幅にカットしたり、戦略を強引に納得させる、みたいな汚れ役が多かった。
  • ある日、取締役会のあとに、出資者のベンチャーキャピタルの取締役に一人残されて、こういわれる。

    「この会社、業績悪いから役員全員変えることにした。それで、社長やらない?

    御歳26歳のこと。
  • 断る理由もないので、とりあえず社長になった。まず、社長として今までの上司をクビにする作業から。前職から連れてきた二人を残して、それまでの先輩・友人をギロチンにかける。
  • ちなみに、同時期そこそこのプレゼンスがあった。ソーシャル・ネットワークの映画にも、なんか嫌味な奴として自分が登場していた。
  • 人を切りまくって、システムは保守した結果、会社は死なずに済んだ。今までの人生の中では、最悪の1年間だった。疲れたのでビジネススクールに来た。
  • ずっと起業活動してるから、自分はまだ働いているように見えるらしい。妻はビジネススクールに行っていることに最近まで気づかなかったらしい。
彼は、あんまりGSBでガンガンとビジネスをやっていることは知られていない。その理由について、こう語った。
  • 正直なところ、毎日ランチセッションとかに有名人扱いされている人たちが来るじゃない。彼ら、僕からみたらただの友達なんだよ。だけど、皆が彼らをヒーロー扱いする。何だか、そういう所に、しれっと顔出して友達ヅラするのには抵抗があるんだ。遠い感じになっちゃうんじゃないかと思って。
  • ベンチャーキャピタルからの出資を募るとか、適当に教授が言っているとたまに違和感を感じる。
  • 何でみんなやってもないことを、ホイホイと発言できるんだ?自分は去年の最初の学期は、経験的に分かってることであっても、全然発言できなかったよ。2学期目に入って、テック系の授業でやっと発言できるようになったけど。
  • 個人的には、今までもそこそこ実績を残すことはできたけど、成功したとは思っていない。やっぱり起業するのはすげー怖い(Damn Scared、でも笑いながらこれ言ってた)。
最近のVC等の話についても、少し聞いてみた。
  • Yコンビネーターは、自分から見たらただの一つの手段。自分だったら別に人もお金も自分でソースするから使わないよ。知り合いがあそこの顧問弁護士やってるし、スーパーヒーローみたいには見ていない。
  • VCとの距離感と事業のエッジ、みたいな話は、ちゃんと管理していればできることなような気がする。初期の段階から、あれだけはちゃんとやるべきだろうね。

思ったのは以下:
  1. 経営人材というのは、SVであっても希少なものと見える。ハードスキルがなくても、若干26歳でもターンアラウンド社長を任されたというのには、本人も驚いていた。
  2. 実業重視、というか、そこからは簡単には学べないよ、という留保。これ、コンサル嫌いと繋がるのだろう。
  3. Yコンビネーターは、「実用性を感じない」人にとってはただの投資付きハウス。まあ、当り前か。
  4. ベンチャー的モジリアー二・ミラー理論:ちゃんと気を付けていれば、事業エッジとベンチャー資本構成は無差別?
  5. やっぱり彼はものすごく好感が持てる。一つの理由は、類を見ないくらいネアカかつ建設的なこと。もう一つは、ものすごく正直で、分からないことは分からないと言い切れること。彼とは、他の状況でも、色々と話し合う機会があったのだが、とにかく人を励ますのがうまい。
  6. なんというか、西郷どんや竜馬みたいな豪快さの人間成分はやっぱり大事だなあ、と思った。

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