2015/04/04

金融庁での講演資料

たまに更新。 

昨日、金融庁の金融研究センターでFintechに関する講演をさせて頂く機会を頂戴しました。  

Fintechという、非常に幅広な意味を持ったキーワードについて、現場からの分析という資料となります。会社側のブログで触れてきた事例を含めて、どのような分析やインプリケーションがあるのかについて、簡単な整理を試みたものとなります。

ご笑覧いただけますと幸いです。    




2013/06/02

不器用な先輩たち

とりとめのない話です。

7年ぶりに、ラーメンズのDVDボックスを引っ張りだしていた。
小林賢太郎の作る間合いには、計算された茶目と悪意が満ち溢れていて、凄く好きなんです。その割に、ここ数年、余裕がなくて見ていなかった。


だらだらと流していると、器用で不器用な男と不器用で器用な男の話、というタイトルのコントがあり、ふと二人の不器用な先輩のことを考えていた。



一人は、結構な年上で、不器用な人。それはもう本人には申し訳なくて伝えられ無いレベルで、不器用な人。
こんな若輩者を相手に、年に二回ほど、お会いして頂いている。
それで、この人は熱いし、常に発想が先を走っている。そして会うたびにハラハラするビジネスやプライベートの話をして頂けるのだけど、ほぼ毎回、話が終わる頃には完全に応援したい方向に心が引き込まれている。
どういうことなんだろうか。やろうとしていることの将来もわからないのだけど、なんだか応援してあげたくなるような、魅力。でも、他の人には説明できない感じ。だけど本人超自信持ってるし、もう突っ走れ!俺は親か?、といつの間にか思わさせられている。
同じ年令になった頃に、同じようになりたいかというと分からない。もっと器用に生きていたいけど、人としてあーも有りたいと思うような、そんな感じ。



もう一人は、世間的にはかなり器用と思われていて、独特のペースがある先輩。同じく、年に1,2回会って頂いている。
なんだか、マイペースながらストレスフルな仕事を続けていて、仕事上、たぶん本当のことが見えて、結構スルー力を発揮した挙句にご自身の正しいと思うことが相手に伝わってしまうのでは、と思わせてしまう方。昔、海外で深夜までご一緒したことがあって、その時に聞いた本人の夢に、未だ一歩一歩近づいているのがかっこいい。
だけど、たぶん業界やら、本当にビジネスの中心にいる人達の中では相当な不器用な方。そして、もはやそのまま不器用であってほしい。そんな感じ。



二人には、いくつかの共通点がある。

1つ目は、独特なメールの打ち方というか、感情表現を入れずにはいられない文章使い。
2つ目は、仕事上で嫌な思いをした人たちへの恨みを忘れずに持っている点。それはもうしっかりと、昨日起きたことのように語ってくれる。そして、その表現たるや、感情豊かどころの騒ぎではない。
そして、3つ目は、何か次の仕事では一山当てるんじゃないかという期待感。不器用なだけで、すごく仕事ができる人たちなんです。そして、仕事を選んだり、その分野を起業したりしている。その領域、突っ走ってぶっこぬいて欲しいなと、いつも思うわけです。

こっそりと、応援し続けたいと思います。


2013/04/28

英語どうする系の話


古賀さんときよとさんの記事がバズっていて、なんだかんだで一家言あるのでTwitterでつぶやいてみたものの、改めて整理したくて書いてみようと思いました。


自分の生い立ちを考えると
・小学1-6年の間、ほとんど日本人のいないロンドン郊外の現地校にて過ごす
・その後、帰国子女向けコースのある中高で英語は別の授業を受ける
・社会人になってから、文献調査は英語の方が俄然多く、日経よりはFTを読んでいる時間の方が長かった。たまに仕事で投資家やインタビュー相手に喋る、偉い人の通訳する、みたいな仕事をやっていました。一言でいうと、コンサルファームのようにグローバル・スタンダードではないけど、かなり英語が多い環境にいた、という状態
・即興でも、十数人の集中力のあるオーディエンスと本人のやる気があれば、感動させたり、笑わせられるスピーチができる気もしている。これは経験上ではありますが

(もう使う機会もないですが、留学前に受けたTOEICは980点、TOEFLは110点)



で、自分の認識だと、本音としてまったく英語が「できる」気がしないのです。だから、英語で確実に伝えたい時には、ゆっくりしゃべるし、相手の表情筋をビビッドに観察しながら、乖離をはやめに摘み取る。だから、外国人に何かを伝えられる気はめっちゃするんですが、英語ができるから、では決してない、という感慨。コミュニケーション・コンピタンスなんて言葉が企業名になる時代ですが、あれ、ガチで自分にとっては大事な武器だと思ってます。


これってどういうことなんだろうと前から思っていたわけです。だから、古賀さんみたいな方に丁寧にまとめていただくと、とても頭が整理されたのです(古賀さん、今の当社のビジネスモデルでも、昔バシっと今でも支えになってるアドバイスをくれた方で、心底尊敬しています)。



それで、ちょっと考えたのですが、結局日本語も同じようなものだな、自分、という気がしてきました。

日本語は、コンテキストが強すぎる言語。日常的に会話する相手だと、色々となあなあで済ませてしまえる。マネーフォワードは、エンジニアリング第一の会社なので、正確な会話が命なわけですが、考えや懸念、分析をシャープにそのまま伝えるのは、自分にとってはなんだかんだでチャレンジだった(実力的に、英語以上に難しいと思えるくらい)のだ、日本語難しすぎ、と日々感じたりするわけです。


そうすると、自分の言語能力、どうしたものか、と思いつつも、英語と日本語で共通して言えるのは、相手との間合いを見て、ダンスするにしても剣道するにしても、何をしたいかなんだよな、という事なんだと思いました。僕の場合、人と話すのは好きなんですが、特定のテーマとかにやっぱり相当フォーカスしがち。知らないし興味が出ないことに遭遇した時のコミュ力の低さが、半端無いわけです。


だから、もし言語がハードルになってる、という問いがあるんだとしたら、結局話す相手と何をしたいのかが前提で、考えればいいんじゃないかな、という、ありきたりな結論に。だとすると、帰納法では、英語が取り沙汰されて記事が読まれる国は、みんなやりたいことがわかってないだけでは、という感じになるのでしょうか。


とはいえ、自分というケーススタディを挙げると、やりたいことが、思い切り具体化されたのもMBA生活でした。自分を大切にする時間があったから、というのが主因ですが、結論だけつなげれば、英語できなくて躊躇してる人も留学ありだよ、というロジックも成り立つのかな、と思ったりしました。


2013/02/16

信長とドラえもん


(COOブログより転載)
金曜、いつもより早く家に帰ると、ちょっと気になっていたドラマ「信長のシェフ」(原作)をやっていました。

信長のシェフは、戦国時代にタイムスリップした料理人が信長に仕え、様々な困難を料理で乗り越えていくお話。言い切ってしまうとシンプルですが、本願寺顕如にモンブランを食べさせるなど、一歩踏み出した演出と、視聴者層の想定が巧いなあ、と感じておりました(続きを読む

2013/01/01

謹賀新年&ご報告


あけましておめでとうございます。
蛇に因んで、伸びやかに柔軟に頑張る一年にして行ければと考えております。


さて、ご報告が遅くなりましたが、2004年の新卒入社以来、瀧を鍛え、育てて頂いた野村を昨年10月に退社いたしました。機密を扱う部署に属しておりましたため、多くの方々には事後報告となりましたこと、申し訳なく感じております。野村での8年半は、日本の資本市場のあり方を考え、フロンティアを少しでも拡げたい、と考える諸先輩や同僚に囲まれた、大変刺激的な毎日でした。

そして、多くの方々に感付かれておりますが、新しい仕事としてマネーフォワードという、お金に関するウェブサービスのスタートアップに携わっております。


https://moneyforward.com/


ここに至るまでの経緯はとてもワンポストでは書ききれませんが、一言で言い切れば

自分のお金の問題を、シンプルに理解し、どうすれば良いか分かる

サービスを目指しています。その第一フェーズとして、究極的に「手がかからない」家計簿を現在開発している所です。百聞は一見ですので、ぜひ上記リンクを訪れて頂き使ってみて頂ければ、何をやろうとしているのかの片鱗を感じて頂けるかと思います。

改めまして、本年もどうぞ宜しくお願いします。

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2012/10/15

Career Transition

一年ほど更新を放ったらかしていましたこのブログですが、もうすぐ再開します。

いま、Career Transitionのまっ最中です。
自分がずっと悩み抜いてきたビジネステーマに、新しい仲間と突破力全開のアプローチで取り組んでいきます。

大学時代から通算して10年超、ずっと考え続けてきた大切なテーマ。

フルスイングしていきますので、応援頂ければ幸いです。

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2011/10/09

jPodとJobs Forever

一人の経営の天才が亡くなられた。
心からのお悔やみを申し上げたい。

エクセルを使えないマシンはクソだ、と言っていた自分が、シリコンバレーという地を経ただけで、今やMBAと呼んだときに経営とは関係ない物を想起し、実際にそれを使ってこのポストを書いている。部屋の中に、音楽用のドックも含めたらiPhoneを充電できる機材が7個もあった。それだけでもすごいことなんだと、改めて思う。

ジョブス逝去の報を聞き、ビジネススクールの話題とかぶる一つのトピックを思い出した。
それはjPod教授のこと。

スタンフォードGSBに入学すると、最初の学期の間、一冊の教科書を用いた経営学の授業がある。Strategic Management、日本でも和訳が出ているこの教科書(参照、訳は石倉先生です。Mさん卒業したら返してください)をベースに、伝統的なケースベースの戦略論の授業の講義が行われる。
この教科書の共著者には、現GSB学長のサローナーと共に、ジョエル・ポドルニーの名前が連なっている。ポドルニー教授はこの教科書に携わった後、HBSで教壇に立ってから、イェール大学のビジネススクールに移り学長としてリーダーシップを取っていた。

(そういえば一度、Yaleのビジネススクールを受験して訪れたときに、教授にちょっとだけ挨拶したことがあった。受験生の立場なので、こちらはかしこまりまくりなのだが、小さなフレンドリーな校風の中で、在学生から親しみを込めてjPodと呼ばれていたのを覚えている)

さて、このポドルニー教授、そもそも三十代でビジネススクールの学長にもなっているのだが、順風満帆と言われたアカデミシャンとしてのキャリアから、2009年のはじめにアップルに転職している。正確には、Apple Universityの学長に就任しているので、転籍になるのだが、どうやらこの転籍、ジョブスの経営上の意思決定を洗いざらいデータとして蓄積し、アップルの後継となる経営幹部に伝承していくためのものとのこと。日本語では、こちらの記事に詳しい(参照)。この話を初めて聞いたとき、こう思ったものだ。当時から、相当病状が重かったとささやかれる中で、この組織はアップルのタージ・マハルのようなものになるんではないか、と。

この試みは、経営学という範疇の中では、少なくとも世俗的な関心が最も高いテーマなのではないだろうか。
ジョブス、もしくはアップルの功績自体は10年後にしか検証できないものなのかもしれないが、今の時点でこれだけの企業価値に、秘伝のタレがあるのだとすれば、それは死んでも味わってみたいと思うのが、アカデミシャンの性なのかもしれない。だけど、jPodの移籍からかれこれ約2年半、Apple U.で行われていることについて、何一つクレディブルなことを聞いたことが無い。jPodのtwitterアカウントも、なんというか差し障りない感じで、1月以降更新が無い(参照)、好奇心が募るばかりである。

個人的に、MBAや役員向けのエリート教育の中から、ジョブスのコピーを生むことができるか、と問われれば、そりゃ無理に決まってる、と断言できる。マネタイゼーションの発想、デザインのセンス、ビジョナリーとしての視野、どこかで一貫しており誰にも理解されている人間像、すべてを取っても、MBAに来る段階では養うには手遅れなところがある。そういえば、在学中イーコマースの授業で、もうありとあらゆるネット企業を分析してきたメンデルソン教授も、アップルみたいなエコシステムを「分析からの逆算で」作ることは不可能、みたいなことを言っていた気もする。

さらに、イノベーティブになりたいとか、自由な心でありたいとか、そういうモチベーションでApple Universityの最高の薫陶を受けたとしても、それは所詮応援団の中の、砂かぶり席にいるようなものである。良い一番を見せていただきました、ではすまされないので、この組織のことを考えると、結局それは、すでに相当なビジョナリーである人間に対して、案外普通の製造業にとっての、オペレーションとマーケティングを教えることなのかな、という気もする。ティム・クックは、おそらくそこら辺のオペレーションの教授よりも別次元の工程管理を肌で行っていることなのだろうし、今後はそういう知識の蓄積がなされていくのかな、と感じている(以上妄想おわり)

個人的にGSBは巧いなあ、と感じるのは、結局こういう事象については「自分が負けたくないことをがんばろう」、即ち、What matters most to youという、出願(参照)の時点で答えを出してしまうものに賭けようぜ、という筋道を最初から示していることだ。何を考えていても、やっぱりここに帰ってきてしまう。そうすると結局なのだが、純朴なコアを大人げなく守り抜くこと、が解になる。他人からみたら、Hungry and Foolishといわれることなんでしょうね。

敢えて一言付け加えるなら、そのFoolishであり続ける生き方を選んだ人には、与えられた課題に対するハイパフォーマーとなることでできるだけ邪魔されないようにする、というのが、MBA教育の付加価値なのではないでしょうか。